輪菊の歴史

 
 
菊はキク科キク属の植物で、学名を「Chrysanthemum(クリサンセマム)」といいます。日本では一般的に菊、海外では「マム」と呼ばれています。
 
菊は日本皇室の紋章ですが、鎌倉時代に後鳥羽ごとば上皇が用いたのが、その起源であるとされています。
古来より、菊は不老長寿の神秘な力を持ち、高貴な姿と芳香を発し、「百草王」と呼ばれ、大変貴重なものだったと言われています。
 

【重陽の節句】
五節句の一つで、9月9日のこと。旧暦では菊が咲く季節でもあることから「菊の節句」とも呼ばれています。邪気を払い、長寿を願って菊の花を飾ったり、菊の花びらを浮かべた酒を酌み交わして祝ったりしました。また前夜、菊に綿をおいて露を染ませ、身体を拭うなどの週間がありました。
 
 
 

菊の種類

 

古典菊

古典菊とは、日本で観賞用として品種改良によって作られた菊の総称です。種類によって「江戸菊」「嵯峨菊」など地名を冠にしたカテゴリーがあり、それぞれに魅力があります。
 
■江戸菊
江戸を中心に流行した中菊。花は内側の花弁から順々に「く」の字に折れて花心を包むように咲くのが特徴です。エエゾギクとも呼ばれ、別名をアスターともいいます。
 
■嵯峨菊
嵯峨菊は、名前の通り京都府左京区嵯峨で育成された観賞用の古典菊です。箒のように広がる糸のように細い花弁が特徴的で、開花時期はほかの菊に比べて遅い11月となっています。
 
■美濃菊
美濃地方を中心に生育された美濃菊は、帆立て花弁と呼ばれる蓮に似た大輪の花が見事な観賞用菊です。観賞用菊のなかでも人気の品種で、各地で展示会や保存会が発足しているそうです。
 
■肥後菊
熊本県で生育されている肥後菊は、花は一重咲きで平開する薄物の三系統、花弁の形は平弁と管弁の2種類があります。色は紅、白、黄の3種類、そして肥後菊は1本だけで植えるものではなく、花壇に植えられた時の全体の調和の美しさが求められます。
花壇を作るには、色の並びや花の高さなど数々の決まりごとがあり、こうして作られた花壇は「肥後菊花壇」と呼ばれます。
 

食用菊

食用菊は、その名の通り食べるために作られた菊。食用菊の歴史は古く、江戸時代には食卓に上がっていたそうです。お刺身に添えるだけでなく、サラダやおひたし、天ぷらなど様々な調理法があります。
 

洋菊

■スプレーマム
アメリカ生まれのスプレーマム。1本の茎から放射状にいくつもの花を咲かせてくれます。一重、八重、管咲き、ポンポン咲きなど花びらの形も様々で、色も古典菊に比べて明るいものが多いのが特徴です。
 
■ポンポンマム
ポンポンマムはオランダ生まれの洋菊で、ピンポン玉のような丸い花姿が特徴です。花の色も豊富で可愛らしいその姿から、フラワーアレンジメントにもよく使われます。
 
■ガーデンマム
色とりどりの小さな花がドーム状に広がるガーデンマム。ボリュームたっぷりの洋菊は鉢植えにはもちろん、お庭に観賞用として植えるのにもぴったりです。
 
 
 

菊がお供えに使われる理由

 
 
■菊の花が長持ちするから
お墓にお供えする花は、生花が基本です。そのためすぐに傷んでしまう花だとすぐに枯れて取り換えるのが大変です。菊は切り花にしても長持ちするので、古来からお供え用の花として使われてきたのです。
 
■菊が邪気を払う
菊の花は、その高貴な花姿と気高い香りで邪気を払うといわれています。古くは平安時代から、宮中の厄を払うために菊の花が用いられていたといわれています。
風水でも健康運をアップさせるといわれていて、菊の節句といわれる9月9日に枕カバーに菊の花弁を忍ばせて眠ると、体の中の厄を払ってくれるというおまじないもあるそうです。
 
■種類が豊富で一年中手に入る
品種改良によって種類が豊富な菊は一年を通してなんらかの菊が旬を迎えているため、比較的手に入りやすい花です。そのため、お供え用の花としても便利なのです。
 
 
 

菊の花言葉

 
 
菊全般の花言葉は、「高貴」 「高潔」 「高尚」。
 

【菊の色別花言葉】
 
■白 「真実」 「あなたを慕う」 「誠実な心」。

■黄色 「長寿と幸福」 「破れた恋」

■赤 「あなたを愛しています」

■ピンク 「甘い夢」

■紫 「私を信頼してください」 恋の勝利」 「夢が叶う」