【染め輪菊で植物の水の通り道を学ぶ】

 

 
小学6年生で学ぶ理科には、「植物の体のつくりと水の通り道を調べる実験」があります。
一般的にはホウセンカを使用して、染色水に浸け、どのように植物が水を吸ってどこを通ってどこまで行くのかを実験しているものです。
 
今回、JA愛知みなみ輪菊部会は、5月の終わりに「輪菊を育てるプロジェクト」で訪れた田原市若戸小学校6年生とのご縁の中で、理科で学ぶ道菅の観察の実験に染め輪菊がぴったりということで、授業で使ってもらうこととなりました。
 

 
このJA愛知みなみ輪菊部会と地域の学校とのコラボレーション企画は、部会役員の越川さんと、若戸小学校で「ふるさと学習」に力を注ぎ、6年生の理科の担当をしている髙橋先生をはじめ若戸小学校側の、双方の意向が合致し、とんとん拍子に実現へと運びました。
 

講師は部会内で染め輪菊を手掛ける林さん夫妻。
 
授業では子供たちは先ず、実験の予想をし、発表をします。染料を混ぜた水に白い菊を浸けると、花や葉がどんな風に染まっていくのでしょうか。
 

 
いよいよ実験。赤い染料を混ぜた水に菊の茎を浸けると、 約10分程で全体が色づき始め、花びらが淡いピンク色に染まりました。

子供たちは「変わってきたー!」と目を輝かせています。
 

 
今度は染まった花の茎をカッター切ってみると、赤く色付いた道管を発見。茎や花びらの様子を虫めがねで観察していました。

子供たちは、植物をこのようにじっくり観察することや、カッターで切って中の様子を眺めることは初めてとのことで、取り組む姿はみんな夢中です。担任の大羽先生にも嬉しそうに作業のサポートをしています。
 

 
時間の都合で、「理科」としての授業はここまで。この後は担任の大羽先生も指導に加わり、一緒に「総合的な学習」の授業へと移行していきます。次は1輪の菊を違う2色に分けて染める「多色染め」の実験です。
 
「菊の色をデザインしてください。」と髙橋先生。
 
多色染めの方法を教わりながら、みんな違うそれぞれの好みの色合わせで染めていました。
子供たちが作った多色染めに、講師の林さんも「自分にはない発想の色の組み合わせで面白い!」と驚いています。
 

色の組み合わせを考え、自分らしさを表現する「美術」、植物の仕組みを学ぶ「理科」、地域を学ぶ「社会とふるさと」の学びが自然と融合する、まさに総合的な学習の時間となりました。
 
子供たちは今回の時間を通して、水が植物の中のどこをどのように通っているかを、手を使い、色を感じ、体験しながら感じられたことと思います。
 

 

 
染め輪菊の指導をした林さんは、「子供たちに菊や花に興味を持ってもらうのがいちばんです。」と話します。
 
「コロナ禍で輪菊の需要は落ち込み、消費も低下している現状が続いています。私たち生産者は “どうしたら菊をみんなに楽しんでもらえるか”をJA愛知みなみと一緒に一生懸命考えています。」と子供たちに伝える部会役員の越川さん。
 
こうした輪菊部会と地域の学校とのコラボレーション企画は、来月も田原市内の別の小学校で予定されているとのこと。
 

 
日本一の菊の産地である田原市。先ずは地元の子供たちに菊に親しんでもらい、そのことがやがて全国の学校にも広がっていくことを夢見ています。
 
先月に続き、授業の指導をしてくださった髙橋先生
 
授業が行われた若戸小学校の2階からの眺め。広い空と太平洋がいつも見守っています。